(離婚9)離婚を考えたとき気になること…慰謝料の基準…

2016-08-04

(離婚9)離婚を考えたとき気になること…慰謝料の基準…

【質問】
離婚するとき,必ず慰謝料を請求できるのでしょうか。慰謝料の額は,どのように決められるのでしょうか。

【回答】
離婚をしても,必ず慰謝料を請求できるわけではありません。また,必ず支払わなければならないものではありません。

離婚するときの慰謝料とは,離婚によって生じた精神的苦痛を慰謝する目的で支払われる金銭的な賠償のことをいいます。慰謝料を請求することが認められるためには,一方配偶者について不法行為が行われ,有責性が認められる行為があったことが必要となります。ということは,性格の不一致で離婚する場合には,原則として,慰謝料を請求することはできません。離婚の際の,典型的な不法行為のケースとしては,一方配偶者の不貞行為(浮気)やDVが挙げられます。
また,一方配偶者に有責性が認められる行為があれば,必ず慰謝料を請求できるということでもなく,場合によっては,請求ができないこともあります。例として,一方配偶者が配偶者以外の異性と浮気をしていたとしても,夫婦関係が既に破綻していた後だった場合,離婚との因果関係がないとして,原則として,慰謝料は請求できないことになります。

協議離婚や調停離婚の際,慰謝料の額は,お互いが話し合いによって合意した額となります。また,慰謝料と一言で言っても,ケース毎に離婚となった経緯も異なり,精神的な苦痛の程度も異なるため,慰謝料の額について,客観的な基準は定められていません。裁判所が慰謝料の額を判断する場合には,離婚に至った原因,夫婦それぞれの経済状態等,様々な事情が考慮されて決まります。だいたい50万円~300万円程度と言われることがあります。これも,場合によって下回ったり,更に高額な慰謝料が認定されるケースもあります。

慰謝料を算定する場合に,考慮される事由としては,離婚原因となった有責行為,性別,年齢,婚姻期間,同居・別居期間,職業,離婚によって受ける経済的な不利益などがあります。また,慰謝料が高くなる事情として考慮される事由には,有責行為が悪質であった場合や,婚姻期間が長期に亘っていた場合,有責行為者の経済力や社会的地位が高い場合,慰謝料請求者が未成年の子どもの親権者となる場合や離婚後に経済的に困窮する場合等です。

また,一方配偶者の不貞行為により慰謝料を請求する場合に注意することがあります。「損害及び加害者を知ったとき」(民法724条)から3年が消滅時効です。また,不貞行為があった時から20年間が除斥期間となりますので,それぞれの期間内に,請求する必要があります。しかし,一方配偶者の不貞行為によって離婚となってしまった場合の慰謝料は,離婚後から3年間は請求ができるとした判例もあります。
もし,一方配偶者の不貞行為を知ってから,かなりの期間が経過して,時効の完成が間近な場合等は,時効の完成を防ぐため,内容証明郵便を送って,訴訟提起をする等,時効を中断させる手続をする必要があるでしょう。

また,支払われた慰謝料は,所得税等の税金は納めなくてはならないのでしょうか。慰謝料は,精神的苦痛といった損害の填補であり,利益ではないため,基本的に税金は掛かりません。ただし,不動産を売却して支払う場合や,不動産そのものを譲り受ける場合は,譲渡所得として所得税や住民税が課せられます。