(離婚4)離婚を考えたとき気になること・・・財産分与と慰謝料・・・

2016-07-01

(離婚4)離婚を考えたとき気になること・・・財産分与と慰謝料・・・

【質問】離婚に伴う財産分与や慰謝料とは,どういうものでしょうか。財産分与と別個に,慰謝料を請求することはできますか。

【回答】前回までで,2回に分けて,離婚をした場合に生じる効果について,お話しました。今回は,2.財産上の効果(財産分与,慰謝料)について,更に詳しくお話したいと思います。

前々回のコラムで書いたように,一般的に財産分与と言われているものは,財産分与請求権ことです。「離婚をした者の一方は,相手方に対して財産の分与を請求することができる(協議離婚の規定を711条で裁判離婚に準用)」と定められています(民法768条1項)。また,離婚に伴う慰謝料とは,離婚によって精神的苦痛を被った一方配偶者に対して支払われる金銭的賠償のことです(民法710条)。財産分与や慰謝料は,養育費とともに,離婚に際して取決める重要な課題となります。

財産分与と慰謝料との違いは,何でしょうか。財産分与は,家庭裁判所で審理される審判事項ですが,損害賠償請求は,本来は通常の裁判所での民事訴訟で扱われ,適用される手続も本来なら異なります。しかし,平成15年に制定された*人事訴訟法により,家庭裁判所に係属する人事訴訟の請求原因である事実によって生じた損害の賠償を求める訴訟は,人事訴訟とともに家庭裁判所で扱えることになりました(人訴法8条,17条)。そのため,両者の手続の違いは,殆ど意味が無くなりました。

 それでは,財産分与と別個に慰謝料を請求できるのでしょうか。前々回のコラムにも書きましたが,財産分与の性質には3つの要素がありました。その中には2.離婚に伴う損害賠償として慰謝料的要素も含まれています。しかし,財産分与に,性質的に慰謝料の要素があるといっても,“慰謝料“そのものが必ずしも含まれているわけではありません。慰謝料を,別途請求することもできます。
例えば,離婚を早く成立させることを優先して,不当に少額の財産分与に甘んじることがあります。判例の中には,財産分与と慰謝料は一応性質を異にするとしながらも,厳格に分離するという立場はとらずに,財産分与の中に慰謝料を含めることもできるとしたものもあります。そして,いったん財産分与を受けた後でも,分与の額や方法が請求者の精神的苦痛を慰謝するのに足りない場合は,別途慰謝料を請求することができるとしたものがあります(最判昭46.7.23),(最判昭58.12.19)。

 今回は,離婚によって生じる効果から財産分与,また慰謝料について,お話させていただきました。
次回は,内縁関係にあった場合でも,財産分与や慰謝料が請求できるかについて,お話してみたいと思います。是非,お付き合いください。

*人事訴訟法・・・人事訴訟に関する手続について,民事訴訟法の特例等を定めた法律。