(離婚21)養育費の支払確保

2016-11-28

(離婚21)養育費の支払確保

【事例】
私が子どもの親権を持ち,前夫が養育費を毎月7万円支払うと取り決めて,離婚しました。しかし,養育費の支払いが滞り,催促しても支払ってくれません。養育費を確実に支払ってもらうには,どうしたらいいでしょうか。

【解説】
養育費の支払いが滞っていると,子どもの監護養育に支障を来しかねません。
離婚の際に,養育費について取り決めた内容について,公正証書を作成しておらず,口約束や離婚協議書だけだった場合には,改めて家庭裁判所に調停を申し立てることになります。公正証書にしていた場合でも,その公正証書に「支払いを滞納した場合,即座に強制執行を受けても構わない」という執行認諾文言が記載されている必要があります。
 
次に,家庭裁判所で,養育費についての判決が出たり,調停調書や審判書に養育費の支払義務が記載されている場合には,家庭裁判所が履行状況を調査して,履行を勧告し,支払を督促してくれる履行勧告という手続きを取ることができます。  

履行勧告でも養育費を支払わない相手方に対しては,履行命令といって,更に強く促すこともできます。この履行命令に従わない場合には,制裁として10万円以下の過料が科せられます。しかし,相手に資力がなく,履行が困難なことを理由に,履行命令が出されることは殆どなく,実効性は少ないようです。

上記2つの手段でも支払いがない場合は,強制執行をします。地方裁判所に,債権差押命令申立てという手続きをして,相手方の財産(給料等)を差し押さえます。養育費等の扶養義務に基づく債権だけは,一部でも不履行があれば,支払い期限がまだ来ていない将来の分についても,一括の差し押さえが認められています。ただし,差し押さえる財産は,養育費の支払期限後に支払われるものに限ります。また,給料への差し押さえは,通常は4分の1までしか認められていませんが,養育費は2分の1まで差し押さえることが可能です。養育費には,親の生活保持義務が課せられているからです。
しかし,相手方の給料を差し押さえることは,相手方が会社に居づらくなって退職したり等,ますます支払いが悪化する可能性もあります。あくまで最後の手段として,履行勧告等の利用を慎重に検討されることをお勧めします。

養育費の支払いを求めて強制執行を行ったが,きちんと支払ってもらえなかった場合等に,養育費の支払義務者を裁判所に呼び出し,支払義務者の財産開示制度もありました。しかし,支払義務者が持っている財産を自分で探す必要があり,実効性に疑問が持たれていました。そこで,法務省は,2016年9月,民事裁判の支払義務を果たさない債務者の預金口座情報を,裁判所が銀行などに照会できる制度の検討を始めました。2018年度以降の法改正を目指しています。