(離婚17)親権…親権と監護権の分離とは…

2016-09-05

(離婚17)親権…親権と監護権の分離とは…

【質問】
私は,夫と離婚を考えています。しかし,夫は,自分が子どもの親権を持つ代わりに,子どもは私が育てればいいと言います。そのようなことが可能なのでしょうか。

【回答】
 親権とは,親が未成年の子を監護・養育する権利義務のことです。父母が婚姻中は,夫婦共同で行使しましたが,協議上の離婚をする場合には,どちらか一方を親権者と定めなければならないと規定されています(民法819条1項)。親権者が定められていなければ,離婚届も受理されません。協議がまとまらない場合には,家庭裁判所の調停・審判又は離婚訴訟をして決められます。実は,離婚の話し合いで,一番揉めるのが親権の帰属だという話もあるくらいです。

 そのため,子の福祉の観点から,親権と監護権を分けることが相当でない場合を除き,何らか積極的な必要性がある場合に限定して,親権と監護権を父母で分けることも認められています。親権者とは別に監護権者を置くことを定めた民法756条の趣旨や,父母が離婚後に親権者と監護権者と分かれて協力し合う形もあり得るとの見地から,可能であると考えられています。

 何らか積極的な必要性があり,親権と監護権とを分けるケースとしては,①父母の一方が身上監護以外で不適任,②父母双方が親権者に固執しており,この解決が子どもの精神的安定に効果がある,③父母のいずれが親権者になっても子どもの福祉にかなう場合に,できるだけ共同親権に近づけるという積極的意義を認める場合等があります。

ここで,親権には身上監護権と財産管理権があります。身上監護権には,監護・教育権,居所指定権,懲戒権,職業許可権,身分行為の代理権,身分行為の同意権があります。監護権は,子供の世話をし,監督し,教育する権利です。
親権と監護権が分離されると,親権者は財産管理権と身分行為の代理権・同意権,監護権者は監護・教育権,居所指定権,懲戒権,職業指定権を持ちます。具体的には,監護権者が実際に子どもを育て,親権者が子どもの財産の管理,代理や身分上の重要な法律行為を行うことになります。

もっとも,親権と監護権を父母それぞれに分けることは,一見,円満な解決のようにも見えますが,親権と監護権を分離すると,後で,更にもめる可能性があります。また,各種手当の受給において,親権者と監護権者が異なっていることが,現実的に不都合が生じていることも指摘されています。