(離婚16)親権者と未成年の子どもの利益相反行為,特別代理人

2016-08-30

(離婚16)親権者と未成年の子どもの利益相反行為,特別代理人

【質問】
離婚した前夫との間に,未成年の子どもが2人いて,私が親権者となりました。親権者として,未成年の子どもの法律行為を代理しますが,代理権を行使できないような場合があるのか知りたいです。
 
【回答】
未成年者は,単独で適正に法律行為を行う能力がありません。そこで,未成年者を保護するために,未成年者に代わって親権者が,未成年者の権利を後見的に代理行使します(民法824条)。
しかし,親権者と未成年者との間で利害関係が対立し,親権者による公正な親権の行使が期待できない場合,親権者に代理権を行使させることが,不適当となります。そういった,自分と相手方が特定の法律行為の両当事者の関係に立つ場合を,利益相反行為といいます(民法826条)。単独行為であっても,親権者が相続放棄しない場合など,事実上当人の利益が親権者の利益と抵触するような場合は,利益相反行為であるとされています(最判昭和53年2月24日)。

そのような場合に備えて,特別代理人の制度が定められています。未成年の子どもと親権者との間で,未成年の子どもを犠牲にした上で,親権者が利益を得ることを防止して,子どもの利益を保護することを目的としています。

特別代理人の選任は,特別代理人選任申立書に利益相反行為の内容等を記載して家庭裁判所に申立てます。民法826条では,親権者のみが請求権者となっていますが,実務上は,子の親族その他の利害関係人も含まれる運用となっています。特別代理人としては,弁護士,司法書士等の専門職のほか,祖父母や叔父等も選任される場合があります。
特別代理人は,委任契約における受任者と同様,善良なる管理者の注意(民法644条)をもって,代理行為を行います。

特別代理人が選任されるケースとしては,上述の親権者(後見人)との利益相反する場合や,未成年者同士での利益相反の場合の他,嫡出否認の訴え(第775条)の場合もあります。なお,特別代理人と未成年者の間に,利益相反関係がある場合は,もちろん特別代理人は権限を行使することはできません(最判昭和57年11月18日)。

 最後に,特別代理人は,特定の事項の終了に伴い,任務が終了します。特定の事項につき,親権者の補充的役割として,一時的に子どもの代理を務めるものだからです。子どもが成年に達したり,結婚して親権者の親権が消滅する場合も,資格が消滅します。