(離婚14)親権者の指定とは

2016-08-18

(離婚14)親権者の指定とは

【質問】
離婚を考えており,子どもの親権をどちらにするかで話し合っています。親権者の指定について教えて下さい。

【回答】
離婚する際に,夫婦に未成年の子どもがいる場合,離婚後の親権者を夫婦のどちらにするか決めて(民法825条),離婚届にも記載しなければ,離婚はできません。婚姻中は夫婦は共同して親権を行使しますが(民法818条),離婚後は単独親権となるためです。夫婦の話し合いで親権者が決まらないときは,協議離婚の届出ができないので,調停で親権者を決めます。調停でも話し合いがつかず,裁判になった場合,裁判所が親権者を定めることになります(民法819条2項)。

裁判所が,親権者の指定において考慮する事情としては,父母においては,監護に対する意欲や能力,健康状態,家庭環境,居住・教育環境,子どもに対する愛情等が挙げられます。子どもにおいては,年齢,性別,兄弟姉妹,心身の発育状況,本人の意向等が挙げられます。
 
実際には,例えば,次のようなことが重視されています。
1.監護の継続性
子どもの現在の生活環境,心理的な結びつきを尊重し,特別の事情がない限り,現在,子どもを養育監護している者を優先させるという考え方です。

2.母親優先の原則
乳幼児については,特別な事情のない限り,母親の監護を優先させるべきという考え方があります。幼児期の生育には,母親の愛情が不可欠であるというものです。
しかし,現在では,このような要請が相対化し,性別にこだわらず,これまで家庭内でのしつけを行なっていたことなどを総合的に考慮し,判断されるべきであるという考え方も強くなっています。

3.子どもの意志尊重
子どもが乳幼児期~10歳頃までは,母親が指定される場合が多いです。 10歳~15歳頃までは,子の心身の発育状況に応じて子の意思も尊重されます。 15歳以上は,子の意思を尊重するため,裁判所は必ず子どもの陳述(意見)を聞かなければならないとされています(人事訴訟法32条4項)。

4.兄弟姉妹不分離
兄弟姉妹はできるだけ分離すべきではないという原則です。兄弟姉妹が一緒に生活した方が,情緒が安定し,人格形成にも役立つのではないかと考えられるからです。

5.有責性の考慮の有無
有責配偶者の事情は,親権者としての的確性を判断する要素として,子どもとの関係で判断されるべきであり,夫婦間の問題における有責性を,親権者を決める際の判断基準として考えるべきではないといわれています。

最後に,親権者の変更は,必ず家事審判手続によることとされています。子どもの利益のために必要がある時に,子の親族が家庭裁判所に親権者変更の審判を申し立てることになります。現在の監護養育の継続を尊重するという観点から,原則として変更は認められにくいと考えられています。