(離婚12)不貞行為の慰謝料請求

2016-08-10

(離婚12)不貞行為の慰謝料請求

【質問】
配偶者や不倫の相手に対して慰謝料を請求することについて,教えてください。

【回答】
配偶者の不貞行為によって離婚に至ってしまった場合,慰謝料を請求できる可能性があります。慰謝料を請求する相手としては,配偶者と不倫の相手が考えられます。
また,離婚に至らない場合でも,不倫の相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。

まず,不貞行為をした配偶者とは離婚をするつもりがないが,不倫の相手に対して慰謝料を請求したいという場合についてご説明します。
配偶者の不倫の相手が不貞の認識がある場合には,配偶者とともに共同不法行為をしたことになり(民法719条),各自が連帯して損害を賠償する責任があります。そのため,不倫の相手には,慰謝料総額の全額を請求することができます。ただし,不倫の相手から配偶者に対して求償されることがあります。
なお,請求が可能なのは,不倫の相手に故意または過失があった場合に限られます。

不倫の相手に慰謝料を請求する方法は,大きく3つあります。一番簡単な方法は,不倫の相手に直接慰謝料を請求することです。より確実な方法は,請求書を内容証明郵便で出すことです。すると,不倫の相手からは,無視されたり,支払いに応じると連絡がきたり,減額を要求されたり,支払方法についての相談があったり等,何らかの反応があるでしょう。不倫の相手との間で,慰謝料額や支払方法等について合意に至ったら,示談書を作成し,慰謝料の支払いを受けます。   
示談できなかった場合は,裁判所に調停や裁判を申立てます。調停の場合,管轄は,通常,簡易裁判所になります。裁判の場合には,請求額に応じて簡易裁判所か地方裁判所を選択して,不倫の相手を被告として訴訟提起をします。
なお,離婚の場合には,必ず調停を経なければ離婚の裁判を提起できませんが,不倫の相手に対する慰謝料請求は,直ちに訴訟の提起ができます。

配偶者と離婚する場合に,配偶者に対しても,慰謝料を請求する場合もあるでしょう。
離婚する際に,未成年の子どもの親権者や養育費や財産分与や年金分割だけでなく,慰謝料についても,支払金額や支払方法を,まずは夫婦で話し合います。話し合いが合意に至ったら,決まった内容を,離婚協議書や公正証書など文書にして残しておくことが大切です。相手が約束を守らなかった場合,公正証書(執行証書)で作成した場合には,基本的に,それをもって直ちに給料の差押等の強制執行できます。そうでない場合には改めて裁判等をしなければなりません。
話し合いで合意に至らない場合,離婚調停を申し立てます。離婚の場合には調停前置主義といって,離婚訴訟を提起する前に,まず離婚調停を申し立てなければなりません。慰謝料の問題は離婚調停や離婚訴訟の手続の中で解決していくことになります。
調停が成立すると,合意内容を文章化した調停調書が作成されます。合意に至らなければ調停不成立となります。 調停不成立の場合,離婚訴訟を提起することになります。

最後に,不貞行為をした配偶者と不倫の相手に対し,それぞれ慰謝料を請求したい場合です。上述したように,配偶者と不倫の相手は共同不法行為の関係になるので(民法719条),連帯して損害を賠償する責任があります。不貞行為をした配偶者と不倫の相手は内部的には負担割合が生じますが,請求者に対しては全額支払う必要があります。

配偶者に対して離婚調停の申立てを家庭裁判所にする場合には,慰謝料請求を併せてすることができます。調停不成立の場合,家庭裁判所に対して配偶者を被告として離婚訴訟を提起する際にも,慰謝料の請求をすることができます(人事訴訟法17条1項)。離婚訴訟を提起した後に慰謝料請求を離婚訴訟が係属する裁判所に提起して一緒に審理してもらうこともできます(人事訴訟法17条2項)。