(離婚10)離婚を考えたとき気になること…財産分与・慰謝料

2016-08-05

(離婚10)離婚を考えたとき気になること…財産分与・慰謝料

【質問】
離婚する際に,財産分与や慰謝料を請求する手続きについて,教えて下さい。離婚してしまった後でも,請求できるのでしょうか。

【回答】
 離婚に際しての財産分与や慰謝料は,一般的には離婚と同時に請求します。しかし,離婚が成立してしまった後でも,財産分与や慰謝料を請求することも可能です。離婚に際して財産分与や慰謝料をどのように請求していくことになるのか,手続き等について詳しくみていきましょう。

 簡単にいうと,請求する順序はこのようになります。
1. 夫婦での話し合い
2. 調停の申立て
3. 1)審判の申立て 2)裁判の申し立て

1.まず,相手方と離婚に関する話し合いをする際に,財産分与の対象,財産分与の割合,財産分与の方法,慰謝料の金額・支払方法などについても話し合います。
話し合いで合意すれば,相手方がきちんと支払わない等,後で強制執行しなければならない場合に備えて,話し合いの内容を公正証書にしておくこともお勧めです。
 
2.話し合いが合意に至らなければ,家庭裁判所に対して,離婚や財産分与,慰謝料の支払いを求める調停を申し立てることになります(※調停前置主義)。
 調停が成立すれば,調停調書は確定した判決と同じ効力が生じます(家事事件手続法268条)。ただし,本来審判で処理される財産分与や子の監護等に関する調停は,確定審判と同一の効力となります。それにより,もし相手方が財産分与や慰謝料の支払いをしない場合に,強制執行をして実現させることが可能になります。  

3.1)調停で,離婚については合意が成立したが,財産分与については話し合いが合意しなかった場合,離婚について調停を成立させ,財産分与については家庭裁判所の審判に移行することを求める方法もあります。家庭裁判所で財産分与を命じる審判がなされると,執行力ある債務名義と同一の効力が生じます(家事事件手続法75条)。これにより,強制執行をして財産分与を実現することが可能となります。
 また,調停で離婚については合意が成立したが,慰謝料の支払いの合意には至らなかった場合,離婚について調停を成立させ,慰謝料については地方裁判所に対して訴訟を提起する方法があります。慰謝料というのは,不法行為に対し,精神的苦痛を金銭で賠償するものなので,本来通常の裁判所が扱います。そのため,慰謝料だけを争う場合には,財産分与の場合と異なり,訴訟提起となります。

3.調停が不成立だった場合には,家庭裁判所に対して,離婚と併せて,財産分与及び慰謝料の支払いを求める訴訟を提起することになります(人事訴訟法17条)。

離婚が成立した後でも,財産分与及び慰謝料の支払いを求めて,家庭裁判所に対して調停又は審判を申し立てることができます。財産分与及び慰謝料の支払いを求めた調停は,確定した判決又は確定した審判と同じ効力があります。
ただし,離婚が成立した後に,財産分与や慰謝料を請求する場合は,いつまで請求できるのか注意が必要です。離婚のときから2年を経過した場合は,財産分与を求めることができません(民法768条2項)。また,離婚のときから3年で,離婚に伴う慰謝料請求権は時効によって消滅します(民法724条)。
 
※調停前置主義とは…家庭に関する紛争について訴訟になる場合,まず調停にかけなければなりません。これは,家庭内に関する争いごとは,法律的なルールに厳密に縛った解決よりも,当事者が納得できる解決を目指す事が望ましいからです。もともと,調停とは双方が合意したことをもとに内容を確定するという手続きなので,家庭裁判所は後見的な役割が期待されています。