(時事)ダイコー 廃棄カツ問題

2016-07-30

(時事)ダイコー 廃棄カツ問題

7月12日の日本経済新聞に,産業廃棄物処理業者「ダイコー」(愛知県稲沢市)会長が,食品衛生法違反(無許可販売)の疑いで逮捕されたという記事が掲載されていました。カレーハウスCoCo壱番屋を展開する「壱番屋」(愛知県一宮市)が,昨年10月,製造過程で異物が混入した可能性がある冷凍ビーフカツの廃棄を,ダイコーに委託したものの,食品として横流ししていたことが,今年1月に発覚したという事件です。同時に,「みのりフーズ」(岐阜県羽島市)の実質経営者が食品衛生法違反と詐欺の疑いで,食品仲介業者である食品販売業「ジャパン総研」(名古屋市)元従業員が,詐欺の疑いで逮捕されました。

 今回の記事を受けて,一般的に産業廃棄物処理において考えられる問題点を検討してみましょう。
 まず,産業廃棄物処理を委託する企業は,排出事業者といいます。問題になるのは,排出事業者が正式に産業廃棄物として産廃業者に委託せず,不法投棄をした場合です。排出業者は,委託処理を受けた産廃業者に対して,きちんと産廃処理をしたことの確認も必要となるでしょう。また,委託前においても,廃棄処理能力を有するかの確認をすることも望まれます。
後ほど触れる産業廃棄物処理法においては,排出事業者の責任,産業廃棄物処理業者の責任が,ともに定められています。
さらに,産業廃棄物となるものが食品の流通ルートに乗ることは通常有り得ないのですが,今後,食品卸売業者やスーパー等は,賞味期限や製造月日等の確認の徹底を図ることになると思われます。

ここで,参考までに廃棄物処理法について,簡単に触れてみたいと思います。正式名称を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」といいます。同法は,廃棄物の排出を抑え,発生した廃棄物についてはリサイクル等の適正な処理をすることで,私たちの生活環境が安全に守られることを目的としています。『(第一条)この法律は,廃棄物の排出を抑制し,及び廃棄物の適正な分別,保管,収集,運搬,再生,処分等の処理をし,並びに生活環境を清潔にすることにより,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。』

今回の件を受けて,行政や消費者は,今後の食の安全に対してどのように向き合っていけばよいのでしょうか。
行政(国)の取り組みにおいて,消費者庁,厚生労働省,環境省等の関係機関によって,今回の件を受けた対策や方針が発表され,HPでも掲載されています。その中に,今後の対策として「廃棄物処理法における電子マニフェストの機能強化」が検討されています。
 また,消費者庁HPの中のリコール情報サイトには,回収・無償修理等情報が掲載されています。
そもそも,現在の日本では,本来食べられるにも関わらず捨てられる「食品ロス」が,約642万トン(うち,半数は事業系)あるそうです(平成28年3月14日付,環境省資料より)。今回,問題となった冷凍カツは,異物が混入したため廃棄処分となった商品でしたが,例えば賞味期限が近くなったため処分される商品等は,処分する以外にも活用方法が模索されています(家畜の飼料等)。元来,我が国は食糧自給率も低く,今回の件は,単なる一事業者が自社の利益を図るために行った犯罪というだけでなく,さらに根が深い問題に起因すると考えることもできそうです。

流通ルートの最終出口にある我々消費者としては,廃棄物処理されるはずの食品が,例えば加工され,安価に販売されていたら,判別することは至難の業となります。こうした食の安全を揺るがす事件は,過去にも生産地偽造など様々行われてきました。消費者としても,時間が経てば忘れてしまうのではなく,自己防衛として,こうした行政発表の資料等にも普段から注意を向ける必要があるのではないでしょうか。