離婚訴訟と不貞行為の損害賠償請求について

2017-06-08

離婚訴訟と不貞行為の損害賠償請求について

配偶者の不貞行為によって離婚訴訟を提起する場合,損害賠償請求も同時に訴えを提起できるのでしょうか。

通常,離婚事件を管轄するのは家庭裁判所,損害賠償請求を管轄するのは地方裁判所や簡易裁判所です。
このため,全く関係がない損害賠償請求事件を,離婚訴訟と併せて家庭裁判所に対して訴えを提起することはできません。

もっとも,不貞行為に基づく損害賠償請求については,離婚訴訟と併せて家庭裁判所に訴えを提起することができるとされています。
人事訴訟法によれば,人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは一つの訴えですることができると定められています。
この場合,家庭裁判所が損害賠償請求に係る訴訟について審理裁判をすることになります。

不貞行為に基づく損害賠償請求については,通常,離婚請求の原因であると思われますので,上記の定めが適用されることになるでしょう。
また,人事訴訟法の定めは,離婚「請求の原因である事実によって生じた損害の賠償」という文言です。
このため,損害賠償は,不貞行為だけに限らず,離婚の原因である事実によるものであれば,同じように訴えを提起することができることになります。

仮に,先に離婚訴訟を提起してしまっている場合も,損害賠償請求を同じ家庭裁判所に提起することができるとの定めもあります。

さらに,損害賠償請求訴訟が地方裁判所に提起されている時には,場合によっては,その事件を家庭裁判所に移送することも可能です。
この場合,移送を受けた家庭裁判所は,同事件について審理裁判をすることになります。

では,離婚事件と損害賠償事件を併合提起した場合,印紙額はどのようになるのでしょうか。
この場合,訴額は,離婚事件と損害賠償請求額の多額の一方になります。
離婚事件は,非財産上の請求として160万円であるとみなされます。
このため,損害賠償の請求額が160万円を超える場合には,その請求額を基準として印紙額が決まることになります。

(参考)
人事訴訟法
(関連請求の併合等)
第十七条  人事訴訟に係る請求と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは、民事訴訟法第百三十六条 の規定にかかわらず、一の訴えですることができる。この場合においては、当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2  人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求を目的とする訴えは、前項に規定する場合のほか、既に当該人事訴訟の係属する家庭裁判所にも提起することができる。この場合においては、同項後段の規定を準用する。
3  第八条第二項の規定は、前項の場合における同項の人事訴訟に係る事件及び同項の損害の賠償に関する請求に係る事件について準用する。

(関連請求に係る訴訟の移送)
第八条  家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は、相当と認めるときは、申立てにより、当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができる。この場合においては、その移送を受けた家庭裁判所は、当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができる。
2  前項の規定により移送を受けた家庭裁判所は、同項の人事訴訟に係る事件及びその移送に係る損害の賠償に関する請求に係る事件について口頭弁論の併合を命じなければならない。

民事訴訟費用等に関する法律
(訴訟の目的の価額等)
第四条  別表第一において手数料の額の算出の基礎とされている訴訟の目的の価額は、民事訴訟法第八条第一項 及び第九条 の規定により算定する。
2  財産権上の請求でない請求に係る訴えについては、訴訟の目的の価額は、百六十万円とみなす。
 財産権上の請求に係る訴えで訴訟の目的の価額を算定することが極めて困難なものについても、同様とする。
3  一の訴えにより財産権上の請求でない請求とその原因である事実から生ずる財産権上の請求とをあわせてするときは、多額である訴訟の目的の価額による。
4  第一項の規定は、別表第一の一〇の項の手数料の額の算出の基礎とされている価額について準用する。
5  民事訴訟法第九条第一項 の規定は、別表第一の一三の項及び一三の二の項の手数料の額の算出の基礎とされている額について準用する。
6  第一項及び第三項の規定は、別表第一の一四の項及び一四の二の項の手数料の額の算出の基礎とされている価額について準用する。
7  前項の価額は、これを算定することができないか又は極めて困難であるときは、百六十万円とみなす。