離婚を考えたとき気になること…財産分与の対象 その1…

2016-07-06

(離婚6)離婚を考えたとき気になること…財産分与の対象 その1…

【質問】
 私は,離婚を考えており,夫に財産分与を請求したいのですが,どのような財産が範囲となるでしょうか。私は,夫の経営する事業を,たった一人で長年無給で手伝ってきました。

【回答】
財産分与には,清算的要素,慰謝料的要素,扶養的要素の3つの要素があります。その中で,清算的要素とは,夫婦が婚姻中に協力して形成した財産をどのように分けるかが問題になります。そのため,夫婦の一方が婚姻前から所有していた財産や,相続などによって単独名義で取得した財産は,分与の対象とはなりません。
しかし,慰謝料的要素,扶養的要素については,夫婦が婚姻中に協力して形成した財産をどのように分けるかということより,相手に経済的な満足を与えることが目的となるわけです。どの財産が財産分与の対象となるかについて,問題にする必要はありません。扶養的要素が主だった財産分与について,夫名義の財産である土地に使用借権,建物に賃借権の設定を命じた判例もあります(東京高判昭和63.12.22)。

そこで,財産分与が夫婦の財産の清算としてなされる清算的要素を前提として,お話を進めます。
夫婦共有名義の財産は,共有財産として原則,財産分与の対象となります。夫婦のいずれに属するか明確でない財産は,共有に属するものと推定されます(民法762条2項)。しかし,一方の単独名義となっていても,夫婦が協力して形成した財産という実質があれば,いわゆる実質的共有財産として財産分与の対象となります。
これに対し,夫婦の一方が婚姻前から所有する財産や,婚姻期間中に相続などによって単独名義で取得した財産は,いわゆる特有財産として,原則,財産分与の対象となりません(民法762条1項)。
また,財産分与が夫婦の共有財産の清算という意味を持つ以上,夫婦以外の第三者の名義となっている財産は,原則,財産分与の対象とはなりません。ただ,第三者名義でも,夫婦が婚姻中に協力して形成した財産と認められる場合は,財産分与額の算定基礎として考慮することが可能です(例:子ども名義の通帳など)。夫の経営する会社が個人事業としての実体を有している場合,会社名義の財産であっても,実質的には夫婦が協力して形成した財産として,財産分与額の算定基礎として考慮することが可能とした裁判例もあります(大阪地判昭和48.1.30)。

今回は,離婚をするにあたって,財産分与の対象について その1についてお話しました。次回は,財産分与の対象について その2について,お話したいと思います。良かったら,またご覧になってください。