離婚を考えたとき気になること…財産分与の対象 その2…

2016-07-08

(離婚7)離婚を考えたとき気になること…財産分与の対象 その2…

【前回の質問】
 私は,離婚を考えており,夫に財産分与を請求したいのですが,どのような財産が範囲となるでしょうか。私は,夫の経営する事業を,たった一人で長年無給で手伝ってきました。

【回答】
「財産分与の性質として含まれる3つの要素のうち,清算的要素を持った財産分与をする際に,どの財産を分けるかということが問題になる。どの財産かというと,夫婦が婚姻期間中に協力して形成した“共有財産”について,(清算的要素の)財産分与の対象となる。」ということを,前回のコラムではお話したと思います。

それでは,共有財産の中でも,どのようなものが財産分与の対象となるのでしょうか。現金,預貯金,不動産,車両,有価証券,不動産などが,財産分与の対象となります。夫婦共有名義でなくても,どちらか一方の名義でも大丈夫です。実質的に,夫婦が協力して形成したという点が重要です。
退職金も,すでに支払われている場合には,財産分与の対象となるとした裁判例があります(東京高判昭和58.9.8)。ただし,退職金全額を分けるというよりも,婚姻してからの期間に応じて分けることに注意が必要です。また,離婚する時点で,すでに退職金が無くなってしまっているような場合は,財産分与の対象となる財産が既に存在しないので,対象とならない可能性があります。
これから支払われる予定の退職金についても,財産分与の対象になるとされる判例の傾向があります。例えば,将来退職金が支払われることを条件として財産分与を命じた裁判例(東京高判平成10.3.18),判決言い渡しから数年後に支払われる予定の退職金のうち,婚姻期間に対応する分を算出し,これに財産分与を請求する側の寄与率を掛け合わせた金額について,財産分与を命じた裁判例(東京地判平成11.9.3)があります。退職金とは,給与の後払い的な性質があります。給与について,夫婦が婚姻中に協力して形成した財産とされるように,退職金も,夫婦が互いに協力していたからこそ貰えたといえる訳ですね。
 また,不動産について,例えば,住宅ローンが残っていても,財産分与の対象から外されるわけではありません。不動産の時価が,ローン残高を上回っていた場合には,その不動産を売却した代金からローンを完済し,その残額を分け合ったり,不動産の査定価額からローン残高を控除した金額をもとに現金で清算するなどの方法を用いて分与します。不動産の時価がローン残高を下回っていた場合は,当事者の話し合いによって,一方が住宅ローンを支払い,一方が住宅に住み続けるといった財産分与の方法をとられることもあります。

今回は,財産分与の対象について その2をお話しました。次回は,財産分与の額や割合といった基準について,お話したいと思います。良かったら,またご覧になってください。