離婚を考えたとき気になること…財産分与の基準…

2016-07-15

(離婚8)離婚を考えたとき気になること…財産分与の基準…

【質問】
財産分与の額や割合は,どのように決められるのでしょうか。

【回答】
財産分与の額及び方法は,夫婦が協力して得た財産の額その他一切の事情を考慮して決められます(民法768条3項)。一般的な流れとしては,財産分与の対象となる財産を特定し,金銭以外の財産については価額の評価をした上で,財産分与の具体的割合及び財産分与の方法を定めることになります。
 
 専業主婦(主夫)のように,専ら家事労働に従事してきた場合でも,婚姻期間中に夫婦の財産を形成することに貢献してきたと考えて,財産分与を受けることができます。
 以前は,家事労働のみに従事してきた場合,夫婦財産の形成に対する貢献度の割合つまり財産分与を受ける割合は,3~4割とされるケースが多くみられました。最近は,家事従事者であっても,特段の事情がない限り,夫婦財産形成に対する貢献度は等しいとする2分の1ルールが提唱されています。家庭裁判所での調停における取扱いも2分の1ルールを採用しているとの報告もあります。基本的には,2分の1と考えて良いと思います。夫婦のうち,どちらか一方が外で働いてきた収入で家計を支え,一方は家事に専念するというご家庭も少なくないですが,家のことをやってくれる内助の功があってこそ,安心して働くことができているという側面もあるのです。
また,家事労働に加えて家業である自営業に協力したり,夫婦が共同で事業を経営して財産形成に貢献した場合,それに応じて財産分与の割合も高くなります。5割またはそれ以上の割合で,財産分与を認めた裁判例もあります(東京高判昭和54.9.25)。

 夫婦共稼ぎの場合は,原則,2分の1となります。婚姻期間中に形成した財産に対し,夫又は妻の貢献度がどの程度であったかによって,財産分与の割合が決まります。妻がフルタイムで働いているときは,夫との収入能力に著しい差がない限り,財産形成に対する貢献度は夫と平等と考えてよいと思われます(広島高判昭和55.7.7参照)。共働き夫婦の妻の寄与分は平等と推定しているケースもあります(福井家審昭和59.10.23)。しかし,夫婦共働きの場合,家事や子育てによって,特に妻側の勤務形態が制限されることがあります。そのため,夫婦どちらがどれだけ貢献したかを公平に判断することは,非常に困難です。したがって,収入の額だけでなく,家事労働も評価の対象として2分の1を認められる傾向にあるのです。
 
 一方,離婚の際の財産分与であっても,財産分与をすることが否定される場合もあります。例えば,詐害行為取消権の対象となる場合です(民法424条)。詐害行為取消権とは,債務超過に陥っている債務者が,債権者を害することを知りながら財産を処分した場合に,債権者が取り消すことができる権利です。 借金などをしている配偶者が,一方配偶者へ財産分与をした結果,財産がゼロになってしまうと,その人の債権者は借金が回収できなくなって困ってしまいます。本来,財産上の権利を目的とする法律上の行為に適用され,離婚といった身分上の行為は取消の対象とされません。しかし,財産分与は離婚に関する問題ですが,財産上の給付をという側面が強いため,詐害行為取消権による取消が可能となるのです。
判例は,「離婚に伴う財産分与も,それが不相当に過大と認められるような特段の事情がなければ,詐害行為にはならないとする。」としています(最判昭和58.12.19)。つまり,財産分与が不相当に過大である等の特段の事情がない限りは,詐害行為取消権の対象とはならず,財産分与が不相当に過大と認められる特段の事情がある場合に限り,例外として,詐害行為と認定される可能性があるのです。
 また,債権者取消権の対象となるのは,財産分与のうち不当に過大と認められる部分です(最判平成12.3.9)。財産分与のうち相当と認められる部分については,債権者取消権の対象とはなりません。財産分与を隠れ蓑として,配偶者に多額の財産分与をして,借金から逃れようとすることを防止する意味があるのです。