遺言を作る際に,気をつけていただきたいこと

2016-06-07

遺言を作る際に,気をつけていただきたいこと・・・厳格な様式性・・・

2016年6月3日NHK NEWS WEBに「遺言書に花押は無効 最高裁が初の判断」という記事が掲載されていました。
遺言書に印鑑の代わりに「花押」が印された遺言書の有効性が争われた事件です。「花押」というのは,かつて戦国武将などが使っていたサインのような印で,現在でも閣僚が使用することがあります。最高裁は,「遺言書に印鑑が必要なのは,重要な文書は判を押すことで完成するという意識が社会の中にあるからであり,花押によって完成するという意識があるとは認めがたい」として,遺言書を無効とする判断をしたとのことです。
 
 上記の裁判では,自筆証書遺言という遺言について問題になりました。自筆証書遺言とは,どのようなものか見ていきましょう。
遺言は,遺言者の真意を確保し,後から偽造できないよう,厳格な要式行為とされています。遺言の方式のうち,普通方式,特別方式があります。普通方式が,通常使われる方式です。普通方式のうち,自筆証書遺言とは,遺言者が自筆で遺言内容の全文と日付と氏名を書いて,押印したものです。手軽にできて,遺言の存在自体を秘密にできるのがメリットですが,紛失,偽造,変造の危険があり,文意が不明などの理由で,効力が問題になる可能性も大きいです。

自筆証書遺言の方式
1.自書 
偽造・変造を困難にし,遺言者の真意によるものであることを担保するための要件です。パソコンやタイプライターで作成したものや,他人の代筆でも無効です。
2.押印 
自書と同様,遺言者の同一性および真意を確認するための手段です。使用すべき印章には何の制限もないため,三文判でもよいとされています。
3.日付 
遺言者が日付を自書していない遺言は,無効です。作成時の遺言能力の有無や,内容の抵触する複数の遺言の先後を確定する(前の遺言は無効となる)ために要求されます。日付を確定しなければいけないため,「吉日」という記載は無効とする判例があります(最判昭和54年5月31日)。
4.加除,訂正
 遺言を加除,訂正するには一定の方式を守る必要があります。変更した場所に押印し,その場所を指示して変更したことを付記し,付記した後に署名しなければいけません。