日常生活の疑問(遺言) 遺言について,教えてください

2016-06-10

日常生活の疑問(遺言) 遺言について,教えてください

【質問】
 私が死んだ後に,家族の間で揉めるのを防ぐために,遺言をしたいと考えています。遺言の方式には色々あると聞きましたが,どのようなものでしょうか。遺言の制度について,簡単に教えてください。

【回答】
 まず,なぜ遺言という制度があるのか,制度ができた理由についてみてみましょう。相続の開始要件,被相続人,相続財産,相続分については,民法で要件が定められており,相続の法定原則といいます。相続の法定原則を,死亡した方(被相続人)の意思で修正したものが,遺言です。被相続人に遺言が認められる理由は,自らの財産を処分する自由があるからです。そして,相続とは被相続人の財産を承継することなので,被相続人の意思を尊重すべきです。しかし,相続は被相続人の死亡によって開始するため,相続するときには,意思の内容や真意かどうか等分からず,争いが生じるかもしれません。それで,遺言ができる事項について,厳格な方式にしたがってされた場合に限って,遺言内容を法的に保障するとしたのが遺言制度です。

 遺言は,遺言者の真意を確保し,後から偽造できないよう,厳格な要式行為とされています。遺言の方式のうち,普通方式,特別方式があります。普通方式が,通常使われる方式です。普通方式には,自筆証書遺言と公正証書遺言と秘密証書遺言があります。

 自筆証書遺言とは,遺言者が自筆で遺言内容の全文と日付と氏名を書いて,押印したものです。手軽にできて,遺言の存在自体を秘密にできるのがメリットですが,紛失,偽造,変造の危険があり,文意が不明などの理由で,効力が問題になる可能性も大きいです。
 公正証書遺言とは,遺言者が公証人に遺言内容を口頭で伝え,公証人が公正証書として作成するので,変造の危険もありません。
 秘密証書遺言とは,公証人や証人の前に封印した遺言書を提出して,内容を秘密にして遺言書を保管することができる方式です。秘密証書遺言の要件を欠いていても,自筆証書遺言としての要件を具備していれば,自筆証書遺言として有効と扱われます。

 一方,特別方式とは,死亡が迫っている場合や,一般社会と隔絶した場所にいる等,普通方式に従った遺言をする余裕の無い場合に用いられます。特別方式の遺言としては,危急時の遺言として一般危急時遺言,難船危急時遺言があり,隔絶地の遺言として伝染病隔離者遺言と在船者遺言があります。便宜的に方式が簡便になっていますが,特別の事情が無くなり,普通方式による遺言ができるようになってから6ヶ月間生存したときは,遺言の効力がなくなることになっています。

 そして,遺言者が遺言をするときに遺言能力を有していることが必要です。遺言の内容を実現する際には、誰かが法律行為や事実行為をしなければならない場合もあり得ますが、これを遺言の執行といいます。事実上、相続人によって行われる事が多いですが、遺言執行者を選任することもできます。いよいよ遺言を執行するためには、公正証書遺言を除き、家裁で検認という手続きを経ることになります。検認とは、遺言書の保存を確実にし、後から変造等を防ぐ,ある種の証拠保全手続のようなものです。遺言が、遺言者の真意に基づくものかどうか、有効かどうかを判定するものではありません。ただし,公正証書遺言は、偽造変造の恐れがないから、検認は不要です。