日常生活の疑問(相続) 相続とは,どういうものでしょうか?

2016-05-31

日常生活の疑問(相続) 相続とは,どういうものでしょうか?

【質問】
 私には,長男と次男の2人の息子がいます。私が死んだら,跡取りである長男に家を継いで貰って,遺産は全部長男に相続させたいです。そのようなことは,できるのでしょうか。相続の制度とは,どのようなものですか。
 
【回答】
 跡取りであるからといって,長男に全ての財産を相続させることはできません。明治時代の旧民法では,相続は主に家督を引き継ぐ為の制度でした。しかし,戦後になって日本社会の近代化とともに民法も近代化され,家督制度は廃止されました。相続は,原則として,死亡した人(被相続人)の財産を,被相続人と一定の親族関係にあった者に帰属させるための遺産相続の制度となったのです。

  相続とは,ある人の死亡(被相続人)により,その人と一定の身分関係にある人(相続人)が,財産的な地位(遺産)を受け継ぐことをいいます。受け継ぐ遺産には,土地,建物,株券などの積極財産と借金などの消極財産があります。消極財産も受け継ぐのは,債務者が死亡したからといって借金が帳消しになると,取引社会が混乱するためです。

 相続は,被相続人の死亡によって開始します。相続人となる者について,配偶者は常に相続人になります。次に,被相続人に子があれば配偶者とともに相続人になります。子がいないときは,直系尊属(親,祖父母,曾祖父等)が,子も直系尊属もいないときは兄弟姉妹が,いずれも配偶者とともに相続人になります。
 相続人の各相続割合は民法で定められており,法定相続分といいます。例えば,法定相続人が配偶者と子である場合,配偶者2分の1,子が2分の1となります。また,子が複数いる場合は,子1人1人の相続分は平等になり,均分相続といいます。長男や跡取りであるという理由で,父親の財産を全部相続することはできないのです。(以前は,非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが,民法改正により,平成25年9月5日以後は実子と同様,2分の1となりました。)

  しかし、法定相続分が修正される特別な場合が2つあります。例えば,相続人の中に被相続人から生前贈与や遺贈を受けた者がいるときは,受けた利益を特別受益として,法定相続分から差し引きます。また,相続人の中に,被相続人の財産の増加もしくは維持に寄与した者がいれば,相続財産から寄与分を差し引いたものを相続財産とみなした上で,各相続人の本来の相続分を算定し,寄与をした者については,これに寄与分を加えた額を相続分とします。このように,特別受益や寄与分により修正された相続分を具体的相続分といいます。相続人それぞれの具体的事情に鑑みて,特別受益や寄与分を考慮した上で具体的相続分を考え,被相続人の財産を相続する特別な場合です(1)。また,指定相続分といって,被相続人が遺言で相続人の相続分を指定する場合もあります(2)。