日常生活の疑問(時効3) 時効の中断について,教えてください

2016-06-23

日常生活の疑問(時効3) 時効の中断について,教えてください

【質問】
 私は,個人商店を経営しています。取引先のA商店に対して,1年前の売掛代金30万円があります。どうしたらいいでしょうか。
 
【回答】
御質問にある個人商店の売掛金は,商取引における債権ですので,時効は2年です(民法173条)。商行為による時効は,民法で定める債権の消滅時効の原則10年間ではなく(民法167条),原則5年で消滅時効にかかります(商法522条)。ただし,他の法令に5年より短い時効の定めがあるときはそれによるので(商法522条但書),小売商が売却した商品代価(民法173条1項)として2年で消滅時効にかかります(前回のコラム参照)。

消滅時効とは,権利を行使すべき人が権利を行使しないという事実状態が続くことです。あなたは,債権者として時効の中断をする必要があるでしょう。時効の中断とは,権利を行使して,それまで進行した時効の期間をゼロにすることです。ちなみに,時効中断事由には,請求(民法147条1号),差押え,仮差押え又は仮処分(同条2号),承認(同条3号)があります。

そのためには,あなたは取引先A商店に対して,消滅時効が完成してしまう前に,何らかの請求をして,時効を伸ばしておくことが必要となります。
これを催告といいます(民法153条)。債務者に対し,履行を請求しますよという債権者としての意思表示を通知することです。催告をする手段は,書面でも口頭でもいいのですが,内容証明郵便ですと,日付や書いてある内容,郵送したという事実を日本郵便株式会社が担保してくれます。また,相手方が受け取っていないと言い張る可能性があるため,配達されたという証拠を保全するためにも,内容証明郵便だけでなく配達証明郵便を付しておくと良いでしょう。

しかし,催告しただけでは時効の中断となりません。ただ単に,弁済してくださいと請求するだけのことなので,それ自体には中断の効力までは無いのです。その後6ヶ月以内に,訴訟,和解のための呼出し,差押えまたは仮処分のための手続きをしなければ,中断の効力を生じません(民法153条)。また,判例によると,催告は一度しか効果がなく,繰り返して行うことができないとされています。

 しかし,内容証明郵便で催告した後などに,取引先A商店が,売掛金について「支払います!」と言ってきてくれれば,債務の承認(民法147条3号)となり,時効は中断されることになります。

内容証明,特に弁護氏名の記載された内容証明郵便は,何らかの債務を負っている方に対して,心理的に圧迫をする効果もあるようですので,効果的に利用されてみるのもいかがでしょうか。