成年後見制度とは,どのようなものでしょうか?

2016-05-27

成年後見制度とは,どのようなものでしょうか?

【質問】
 私の父は,認知症にかかってしまい,今までのような正常な判断が出来なくなってしまいました。高齢者を狙った高額商法なども怖いですし,父には預貯金や不動産などがありますので,だまし取られないか心配です。成年後見制度というものがあると聞いたことがあるのですが,どのような制度でしょうか?

【回答】
 成年後見制度とは,精神上の障害のために判断能力を欠く人に対して,家庭裁判所で後見開始の審判によって後見人を選任して本人の財産などの保護を図る制度です。精神上の障害には,認知症,知的発達障害,自閉症,統合失調症,遷延性植物状態などが含まれます。
 
  それでは,後見開始の審判は,実際にどのように手続きするのか見てみましょう。まず,成年後見人を選任して貰いたい御本人の住所地を管轄する家庭裁判所に審判を申立てします。申立てできる人(申立権者)は,御本人,配偶者,四親等内の親族,未成年後見人,未成年後見監督人(御本人が未成年者のとき),保佐人,保佐監督人(御本人が被保佐人のとき),補助人,補助監督人(御本人が被補助人のとき),任意後見受任者,任意後見人,任意後見監督人(任意後見契約が登記されているとき)等です。申立てがなされると,御本人の精神状況について医師等の鑑定により医学的な見解を参考にしつつ,後見開始の審判をするか判断します。
 
 いよいよ家庭裁判所にて後見開始の審判を受けると,御本人は被成年後見人となって,成年後見人が選任されます。成年後見人は,成年被後見人の財産を管理し,成年被後見人に代わって財産上の行為を行います。選任される際は,成年被後見人の保護という職務を全うできるよう,利益相反する恐れがないか考慮されます。
 成年被後見人のした財産上の行為は,民法の規定により,成年被後見人自身または成年後見人が,いつでも取り消すことが可能です。そのため,高額な商品を買わされてしまったり,だまされて財産を売ってしまったりしても,後から取り消すことができます。但し,この規定にも例外があって,日用品の購入など日常生活に関する行為は,取り消すことができません。成年被後見人のした日常的な行為までも取り消せるとすると却って不便になり,成年被後見人の保護を図るという制度本来の趣旨から外れてしまうからです。
 
 最後に,成年被後見人となった事実は,プライバシー保護の観点により,御本人の戸籍等に記載はされませんので御安心ください。後見開始の審判が確定すると,法務大臣指定の法務局等の後見登記ファイルに登記がされ,御本人や成年後見人など限定された人のみが登記事項証明書の交付を請求できることとなっています。